抹茶と玉露の栄養比較

抹茶と玉露の栄養を比較すれば、どちらの方が優れているといえるのでしょうか。玉露の栄養を抹茶と比較する前に、まずは飲む機会の多いせん茶と番茶で比べてみます。

「美容のビタミンCは玉露に多い?」にあるように粉末の茶葉そのものを飲む抹茶を除いては、ビタミンCが多いのは玉露ということになります(抽出液で比較)。

また、「妊娠中には玉露で葉酸を摂取」にあるように、粉末茶(抹茶)を除いて葉酸が多いのも玉露です(同様に抽出液で比較)。葉酸は胎児の神経管障害を予防する観点から、妊娠前からは計画的に摂取しなければならない栄養です。

ビタミンB2の含有量を比べれば玉露はせん茶の2倍、番茶の3倍以上です(抽出液で比較)。ビタミンB2は皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養であることから、美容には不可欠な栄養です。

更にカリウムの含有量を比較すれば、せん茶や番茶の抽出液に比べて玉露では10倍以上です。カリウムにはナトリウムを排出させる作用がありますので、塩分の取りすぎを原因とする高血圧やむくみを予防するには効果的な栄養です。

マグネシウムを比較しても玉露の含有量が非常に優れていて、マグネシウムは骨や歯の形成及びエネルギー産出を助ける栄養です。また、マグネシウムは血糖値にも関わる栄養で、糖尿病には密接に関係します。

マンガンに関しても玉露の含有量が一番多く、玉露の抽出液を1杯飲むだけで1日の所要量を満たすほどです。マンガンはマグネシウムやカルシウムと同様に、骨の形成を助ける栄養です。

カテキンは番茶、ビタミンとミネラルは玉露で補う

カテキンは番茶で補い、ビタミンとミネラルは玉露で補うのが緑茶の賢い飲み方です。玉露は上記のようにビタミンとミネラルを非常に多く含みますが、カテキンの含有量は番茶に及びません。

緑茶のビタミンとミネラルの含有量をまとめてみると、以下のようになります。

栄養成分 ・・ 玉露 - せん茶 - 番茶(抽出液100ml当たり)

ビタミンC(mg) ・・ 19 - 6 - 3

葉酸(μg) ・・ 150 - 16 - 7

ビタミンB2(mg) ・・ 0.11 - 0.05 - 0.03

カリウム(mg) ・・ 340 - 27 - 32

マグネシウム(mg) ・・ 15 - 2 - 1

マンガン(mg) ・・ 4.60 - 0.31 - 0.19

ここで玉露の栄養に基づく作用をまとめてみると、以下のようになります。

ビタミンC、ビタミンB2による美容効果

葉酸による胎児の神経管障害の予防

カリウムによる高血圧とむくみの予防

マグネシウムによる血糖値の改善効果

マグネシウムとマンガンが骨の形成を助ける

このように玉露の抽出液は非常に栄養価が高く、健康維持には効果的なことがわかります。

ただし玉露の欠点はせん茶と番茶に比べてカテキンが少ないことで、カテキンは番茶に一番多く含まれています。カテキンには抗酸化作用があり、抗がん作用も指摘されています。「カテキンについて

抹茶の栄養価は高くない

抹茶の栄養価は思ったほど高くないようです。緑茶の茶葉の栄養価は基本的に非常に優れていて、抹茶は茶葉の粉末をそのまま飲むという点で表面的には栄養が豊富です。

ただし抹茶の栄養価が高いのは粉末100g当たりで考えた場合で、コップ一杯の抽出液で比べれば玉露の栄養価が優れています。

玉露の抽出液と抹茶の粉末を100g当たりで単純に比べれば、例えばカリウムが玉露で340mgと抹茶で2700mg、葉酸が玉露で150μgと抹茶で1200μgです。

でも抹茶を1杯いれるには、粉末を2g程度使用することになります。

先ほどの抹茶のカリウム、葉酸を2g当たりで換算すれば、カリウムがお茶1杯分で54mg、葉酸が24μgとなります。

コップ一杯分(抽出液100ml)の栄養を比較すれば、以下のようになります。

栄養成分 ・・ 玉露 - 抹茶

ビタミンC(mg) ・・ 19 - 1.2

葉酸(μg) ・・ 150 - 24

ビタミンB2(mg) ・・ 0.11 - 0.027

カリウム(mg) ・・ 340 - 54

マグネシウム(mg) ・・ 15 - 4.6

カテキンの含有量を比べれば、抹茶よりも番茶の方が多くなります。抹茶は茶葉を柔らかくするために日光を遮断して育てることから、カテキンの含有量は少なくなってしまいます。

結論としては、ビタミンとミネラルを摂取するのなら玉露、カテキンを摂取するのなら番茶の方が効率的だといえます。抹茶は雰囲気を楽しむものだということです。