クロロゲン酸の概要

ポリフェノールとヤーコンのオリゴ糖

クロロゲン酸は多機能なポリフェノールです。クロロゲン酸はヤーコンのポリフェノールの主要成分の1つに数えられますが、クロロゲン酸はダイエットコーヒーの主要成分としても知られています。

クロロゲン酸がダイエットコーヒーで注目されている要因には、クロロゲン酸に褐色脂肪細胞を活性化させる作用があるといわれるためです。

褐色脂肪細胞とは過剰摂取したカロリーを熱エネルギーとして排出させる作用を持つ脂肪細胞で、基礎代謝の一部分にも組み込まれるカロリー消費の重要な役割を持つ部分です。

これまでの研究で、クロロゲン酸には以下の役割があることが指摘されています。

抗変異原性(がんの発生段階の抑制)

糖の吸収を抑えて血糖値の安定化を促す

アンギオテンシンI変換酵素阻害活性(血圧の抑制に関与)

チロシナーゼ阻害活性(メラニンの生成抑制)

抗酸化作用による活性酸素の除去

クロロゲン酸の抗変異原性

クロロゲン酸には抗変異原性があるといわれています。抗変異原性とは、がんの発生段階を抑制する作用のことを指します。

がんは細胞の突然変異によって引き起こされますが、細胞の突然変異を抑制する作用を抗変異原性といいます。抗がん性とは、すでに発生したがんの成長を抑制する作用を指します。

すなわちクロロゲン酸で指摘されている抗変異原性とは、細胞の突然変異によってがん組織が発生することを抑制する作用です。

がんの定義は悪性の腫瘍です。体を作る細胞は古くなると自然に消滅することで新しい細胞と置き換えられるものですが、古くなった細胞が消えずに増殖を繰り返す組織を腫瘍といいます。

血糖値の安定を促す

クロロゲン酸には血糖値の安定を促す作用が指摘されています。クロロゲン酸が血糖値の抑制に関与するのは、クロロゲン酸の摂取が血液中と脾臓や肝臓のマグネシウム濃度を上昇させるからだと考えられています。

糖尿病はインシュリンの作用不足に基づく慢性的な高血糖状態を特徴としますが、糖尿病患者は正常な血糖値を示す人に比べて血液中のマグネシウム濃度が低いことが観察されます。

マグネシウムは体内酵素の正常な働きとエネルギー産出を助ける働きを持つのですが、インシュリンの分泌や標的細胞における作用にも関わることが知られています。

クロロゲン酸のこのようなマグネシウム濃度を上昇させる作用は、インシュリン増感剤の一種であるメトフォルミンの作用と同様である可能性が指摘されています。

血圧の抑制に関与

クロロゲン酸が血圧の抑制に関与することも指摘されています。クロロゲン酸にはアンギオテンシンI変換酵素阻害活性があるといわれています。

高血圧とは心臓が血液を送り出す時の血管内の圧力が高い状態を指しますが、血圧を上昇させるのは体内でアンジオテンシンIIという物質が生成されるためです。

腎臓で産生されたレニンはアンジオテンシノ-ゲンに作用して、アンジオテンシンIを産生します。それがアンジオテンシン変換酵素(ACE)によってアンジオテンシンIIに変換されることにより、強力な血圧の昇圧作用を有することになります。

クロロゲン酸のアンギオテンシンI変換酵素阻害活性とは、レニンがアンジオテンシンIIへ変換されるまでの流れの一部を抑制する作用を指します。

メラニンの生成を抑制

クロロゲン酸にはメラニンの生成を抑制する作用もあるといわれています。クロロゲン酸にはチロシナーゼ阻害活性が指摘されています。

メラニンが生成されるしくみには体内酵素の一種であるチロシナーゼが関与していますが、チロシナーゼとはメラニンの生成で中心的な働きをしている酵素です。

メラニンが生成されるために必須の体内酵素がチロシナーゼであるため、チロシナーゼが働かないようにすればメラニンが生成されることもありません。クロロゲン酸のチロシナーゼ阻害活性とは、体内でチロシナーゼの働きを阻害する作用を指します。

クロロゲン酸の抗酸化作用

クロロゲン酸には抗酸化作用がありますが、抗酸化作用は多くのポリフェノールが一般的に有する特徴の1つです。抗酸化作用は動脈硬化の原因になる活性酸素の生成を抑制する作用を指します。

呼吸活動で取り入れる全酸素量の約3%が活性酸素に変化するといわれていますが、活性酸素はいちじるしく化学反応を引き起こしやすい性質を持つため他の物質を酸化させてしまいます。

動脈硬化が引き起こされるしくみの1つには、活性酸素が血液中のコレステロールを酸化させてしまうことが挙げられます。